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大塚を代表する伝統校「巣鴨中学・高等学校」の伝統行事「寒稽古」レポート&堀内不二夫校長先生インタビュー

大塚エリアの中でも創立100年以上の伝統校・「巣鴨中学・高等学校」では、文武両道の精神に基づき、毎年1月、6日間にわたる剣道と柔道の冬の寒稽古を行っています。今回は、引き継がれてきた、この伝統的行事の様子をレポートするとともに、学園の今と昔について、校長の堀内不二夫先生にお話を伺いました。

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朝6時前から、生徒が続々と登校

今年(2020(令和2)年)の寒稽古は、1月13日(月)~18日(土)の6日間ということで、取材班は、最終日である18日(土)に学園を訪問。寒稽古最終日の実施時間は、毎朝6:20~7:00過ぎ。まだ夜も明けない暗い内に、生徒たちが学校へ集まってきます。

朝6時前、辺りはまだ真っ暗。雨が降っていても元気に登校。

朝6時前、辺りはまだ真っ暗。雨が降っていても元気に登校。

寒稽古は基本、自由参加。参加する生徒は各自、寒稽古用の出欠票を持参。出欠係が、別室でカードに記載のバーコードの読み取り作業を行い、参加生徒の出欠をとっていきます。自由参加にもかかわらず、全体の約9割の生徒が参加するそう。皆勤の生徒は、卒業時に皆勤賞をもらえるそうです!

参加者の出欠票。バーコード付なのが先進的!

参加者の出欠票。バーコード付なのが先進的!

また、最終日の今日は、納会を開催するということで、毎年恒例の生徒手作りの豚汁(ぶたじる)がふるまわれます。約2,400食分の豚汁を作る役目の生徒達は、学校に泊まり込みで準備をするそうです!

ものすごい量の豚汁です!

ものすごい量の豚汁です!

1,000名を越える生徒達が、剣道と柔道の稽古をスタート!

体育館には、胴着に身をつつんだ生徒達が大集合

体育館には、道着に身をつつんだ生徒達が大集合

学園では、中学生は剣道、高校生は剣道か柔道の授業が、週1時間必修であります。寒稽古では、体育館や剣道場で剣道、そして柔道場で柔道の稽古が行われます。数百人の生徒達が一斉に竹刀をふるう稽古風景は、圧巻の一言。今日は土曜日ということで、生徒の保護者や家族の姿も散見されます。息子の雄姿をカメラや動画におさめようと動く保護者の姿が多く見られました。

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稽古終了!おいしい豚汁で、身体もぽかぽかに

約40分の稽古が終わり、生徒達が続々と屋外へ移動。テント下でスタンバっている、豚汁係の生徒から豚汁を受け取ります。稽古でお腹もちょうど減ってきた所。具沢山、ボリュームたっぷりの豚汁で、各々が身体を温めます。

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寒稽古を終えて、生徒さんと保護者の方のコメント

稽古を終えた生徒さん、そして稽古を見に来た保護者の方に、寒稽古の感想をいただきました!

参加5回目の高校2年生3人組

参加5回目の高校2年生3人組

4時半起床で登校したという生徒さん。「寒稽古で、忍耐力が身につきました」

「入学するまで寒稽古の存在を知らなかった」という中学1年生

「入学するまで寒稽古の存在を知らなかった」という中学1年生4人組

今回初参加の中学1年生。「友達と一緒に取り組めて、日を追う毎に稽古が楽しくなりました」

「生徒の頑張りを見て、親も成長する」と保護者の方

「子どもの頑張りを見て、親も成長する」と保護者の方

高校2年生の息子さんの保護者さん。「なかなかできない経験。親子で一緒に乗り越えて成長できました」

豚汁を食べ終えた後は、それ程休む間もなく、8時10分から通常の授業が始まります。ちなみに、寒稽古最終日は大学入試のセンター試験と重なる日程。高校3年生の生徒の中には、この寒稽古に参加してから、受験会場へ向かう猛者もいるそうです。

巣鴨学園の堀内不二夫校長先生にインタビュー

―巣鴨学園の概要を教えてください。

1910(明治43)年、文学博士の遠藤隆吉先生が私塾「巣園学舎」を創立しました。その後、1922(大正11)年に「巣鴨中学校」ができ、高校ができ、今日までこの地で、硬教育(努力主義)による中高一貫の男子英才教育を行っています。創立者の遠藤先生は、ご自身を「治道家だ」とおっしゃっていました。社会国家を支える人材をつくることを目指し学校を作りましたが、その精神は今日も本校に受け継がれています。

ご自身も「巣鴨中学・高等学校」出身の堀内校長先生

ご自身も「巣鴨中学・高等学校」出身の堀内校長先生

周辺には人家も少なかった、学園創立当初

第二次世界大戦敗戦後の学園付近の様子

―寒稽古は、いつから始まったのでしょうか。

戦前から取り組んでいると思います。戦時中はやっていませんが、戦後にまた復活しました。朝寒い中、自分で起きて、稽古に参加する。「自分でやる」ということができれば、寒稽古の目的の半分以上は達成しています。社会に出れば、いろいろな困難にぶつかりますが、それを乗り越えていかなければ、人は成長しません。寒稽古もそうですが、学校でいろいろな経験をさせていくことで、生徒達に困難を乗り越えていく精神の強さを持ってもらいたいと考えています。

寒稽古は自由参加ですが、中学1年生から高校3年生まで、約8、9割の生徒が参加しています。寒い冬の朝という、より困難な所へ自分で来る、そのこと自体に意味があるんです。卒業後、人生のどこかの時点で、「あの経験が役に立った」と自然に感じる時があれば、それでいいのだと思います。

―教育目標は、何でしょうか。

卒業後、社会に出た時に、生徒が自分の足でしっかり立ち、周囲から「あの人すごいね」と言っていただけるようになればいいと思っています。よく、「リーダーをつくる」と言いますが、リーダーはつくれません。まわりの人達が、その人の総合力を見て「あの人すごいね」と認めた時に、その人が本当にリーダーになれるのです。そういう人間になってほしいと思います。そのために、いろいろな経験をこの学校でさせています。寒稽古もそうですが、仲間や先輩と一緒に何かをやる、これに対して生徒達は大きな一体感を感じていると思います。こういうことを経験するかしないか、というのは将来に大きく影響してくるのではないでしょうか。

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―2016(平成28)年に完成した校舎について、教えてください。

学校は、お子さんをお預かりする場所です。そして、子ども達には未来、可能性があります。この未来や可能性を形にしたいと思い、校舎には生徒に見立てた大きな柱を並べて配備し、その柱が真っ直ぐにのびた先には、青空=社会がある、というデザインにしました。それから、できるだけ木を使用しています。現代の建物は、ほとんどがガラスやコンクリート、鉄でできていますが、人間は極端に言えば、森で生まれた生き物なので、木を使うべきだという考えを建設会社に話し、木を活かした建物にしました。

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校舎内には、ランチが食べられる眺めのよいカフェテリアも

校舎内には、ランチが食べられる眺めのよいカフェテリアも

講演なども行われる講堂

講演なども行われる講堂

高校2年生の授業では、年に1回、茶道の授業がある

高校1年生の授業では、年に1回、茶道の授業がある

―寒稽古の他に、「巣鴨中学・高等学校」独自の取り組みはありますか。

本校は、グローバル社会で活躍するリーダーとなる人材を育てるための国際教育に力を入れていますが、その中の一つとして、中学2年生から高校1年生の希望者を対象に、「Sugamo Summer School(SSS)」を3年前から実施しています。これは、オックスフォード大学やケンブリッジ大学を卒業し、各分野の第一線で活躍するイギリス人トップエリートを講師に迎え、6日間の英語によるレッスンを行うプログラムです。英語を話すことはもちろん大事ですが、私は、話す中身が一番大切だと考えています。話の中身をより濃く、豊かにするために、生徒に知的・精神的な刺激を与えることができるものとして、このプログラムを行っています。

―これから力を入れていきたいことは、どんなことでしょうか。

どの世界でも、どの時代でも、人間の本質は変わりません。それをぶれずに追い求めていくために、「真面目に、きちっとやること」、そういったことをしっかり学ばせる。それをしっかり行っていきたいと考えています。勉強と並行して、人間の基礎を育てる教育を行っていく場所が学校です。これから、少子化の時代なので、そういったことに今まで以上に再度、光が当たっていくのではないかと思います。まだ世界の中では歴史が浅いですが、行く行くは、この学校を世界に通用する学校にしたいです。

―ありがとうございました。

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学校法人巣鴨学園
https://www.sugamo.ed.jp/index/
住所:〒 170-0012東京都豊島区上池袋1-21-1
電話:03-3918-5311

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