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「あなたは、一人じゃない」豊島区で実践する“脱・孤育て”の取り組みとは?荒砥悦子さんインタビュー

豊島区民の頼れる、暮らしのサポート拠点
特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク・区民ひろば南大塚

「安心して子どもと一緒に遊びたい」「趣味仲間がほしい」「地域のボランティア活動に参加したい」等々、住んでいる地域について情報がほしい時、何かを相談したい時、どこへ行けばいいのか分からない…。そんな方におすすめなのが、区や市などが運営しているサポート施設やNPOなどの支援団体。子育て支援サービスや区民の交流イベントなど、無料で参加できるものもたくさんあります。
今回は、豊島区内で子ども達の学習支援や暮らしのサポートを行っている、特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークの理事・荒砥悦子さんに、取り組みや区民ひろばのことについて、教えていただきました。

豊島子どもWAKUWAKUネットワークの理事・荒砥悦子さん

豊島子どもWAKUWAKUネットワークの理事・荒砥悦子さん

気軽に相談ができる、“近所のおせっかいおばさん”として

―まずは、特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークについて、教えてください。

「地域の子どもを地域で見守り育てる」を目的とし、2012(平成24)年に設立されたNPO法人(特定非営利活動法人)です。もともと、子どもの貧困対策を軸に活動をしていましたが、活動の中で、「貧困は、経済的なものだけではない」ということに気づいたんです。子ども達は、遊ぶ時間も足りていないし、仲間づくりができる環境もない。子どもらしい時間がすっかり失われている、そういう類の貧困もあるよねと。ですので、私達は、遊ぶ場所がないのでプレーパークをやる、仲間がいなければ学習支援のような所で会ってお話する等、経済面だけではなく、すべての貧困に紐づいた活動をしています。大きく分けると「遊びサポート」「学びサポート」「暮らしサポート」という3つのサポート活動を行っていますが、私達自身は、“近所のおせっかいおばさん”という位置づけで、自分達のことを考えています。

子どもたちが「自分の責任で自由に遊ぶ」プレーパーク

子どもたちが「自分の責任で自由に遊ぶ」プレーパーク

団体の取り組みは、各種メディアでも取り上げられている

―活動内容について、具体的にうかがえますか。
まず、「遊びのサポート」としては、子ども達が自由に外遊びのできる遊び場を提供する「池袋本町プレーパーク」を開催しています。単に遊ぶだけではなく、土日はかまどを囲みべっこう飴を作ったり、夏はウォータースライダーができる楽しいイベントも不定期で開催して、子ども達の「やりたい!」という気持ちを大切に、自然のある、そして大人(プレーリーダー)が見守る空間の中で、安心して思いきり遊んでもらう場づくりをしています。開催場所は、北池袋駅に近い「池袋本町公園内」ですが、区内の公園や保育所に出向き「出張プレーパーク」もおこなっています。
それから、「学びサポート」では、家庭状況に左右されることなく、学びの場を提供しようということで、無料の学習教室を実施しています。これは、子ども達に勉強を教え始めた弁護士の方と共同で取り組んでいるものになります。また、暮らしのサポートとして行っているのは、「子ども食堂」と「ホームスタート・わくわく」です。「子ども食堂」は、要町あさやけ子ども食堂や椎名町こども食堂など、決まった曜日・時間に実施していて、子ども達に栄養バランスのよい夕食を提供しています。

ちなみに、このNPO開設のきっかけにもなったことですが、プレーパークに遊びに来ていたお子さんの中に「高校に行きたいけど、どうしていいか分からない」と話した子がいたんです。その話を聞いて、代表の栗林が「一緒に勉強しよう」と始めたのが、このWAKUWAKUネットワークへと発展しました。その子のための学習支援が食の支援へと広がっていきました。

「あなたは、一人じゃない」、寄り添うことの大切さ

やっと寝たね・・・  2017HSフォトコンテスト

やっと寝たね・・・  2017HSフォトコンテスト

―暮らしのサポートとしては、「ホームスタート」も行っているそうですね。

はい。就学前の子育て中で孤立してしまっているご家庭に、地域の先輩パパ・ママが訪問して、親御さんのお話を聞いたり、一緒に買い物に行って食事を作ったり、お子さんと遊んだりする、家庭訪問型子育て支援です。日本では10年程前にスタートしたプロジェクトですが、私達が始めたのは約3年前からです。1家庭につき、担当ボランティアさんが1回につき2時間で、4回程訪問します。2時間あれば、掃除や料理などの一仕事ができる上、負担感が少ないんですね。保育や家事を引き受けるのではなく、一緒にやるという点がポイントです。共同で行うことで、親御さんが「私は一人じゃない。一緒に支えてくれる人がいるんだ」と安心できますから。仕事という形式的なものではなく、近所の方が「どうしてますか?」とちょっと様子を見に行くという感じです。

―継続して利用される方もいらっしゃるのでしょうか?

4回ではまだ不安という方には、延長という制度もあります。ですが、結局、私達はつなぎ役なので、4回の訪問が終了するまでに、「依頼者がもう自分で対応できる、大丈夫」という所まで引っ張り上げてあげることが大切です。訪問終了以降、こちらが手を離すのであれば、その手を他の誰かにつないでから離します。「一人で子どもと広場に行けるようになった」「支援センターの相談窓口に相談できるようになった」など、依頼者の方がそこまで到達できて、こちらはよかったと安心できるんです。

様々な行政サービスの隙間を縫い合わせ、「おせっかい」が地域にぬくもりを与える

様々な行政サービスの隙間を縫い合わせ、「おせっかい」が地域にぬくもりを与える

―利用者の方の反応は、いかがですか?

利用してくださった方が、とても前向きになりますね。利用される方の中には、ワンオペ育児で、人に頼らず何もかも一人で抱え込んで、孤立してしまっている方も多くいらっしゃいます。子育てに没頭する中で、自分が何をやりたかったのかを忘れてしまったという方もいて、私達と話をしたり、一緒に何かをすることで、「もっと働きたかったかも」と自分の中にあった仕事への意欲に気づき、職業訓練所へ行ったり、お子さんを保育園に通わせ始めたりする方もいます。そういった姿を見ると、私達がご本人の話を聞いてあげること自体が、自分のやりたかった方向を探すヒントとなっていることを実感します。

ご本人が、そういう風に明るい顔になってくると、ボランティアさんも喜ぶんですよ。「私も一緒に話をしていて楽しかった!」と。それが、この取り組みの特徴である伴走型のいい所だと思っています。私達は公的機関ではないので、アドバイスをするわけではなく、困っている方にお友達として寄り添っていけるので。

WAKUWAKUでは、返済不要の応援給付⾦の実施など、様々な活動を⾏っている

WAKUWAKUでは、返済不要の応援給付⾦の実施など、様々な活動を⾏っている

―今後、どのように活動を広げていく予定でしょうか?

以上ご紹介した活動を含め、さまざまなことを行っていますが、こうした取り組みが開催されていても、利用に結び付いていない方がたくさんいらっしゃると思います。ホームスタートなどは、もっと多くの方に利用していただきたいですし、ボランティアスタッフも増やしていきたいと考えています。今ご紹介した取り組み以外にもいろいろなことを行っているので、是非参加して、何か困ったことや悩みがあれば、この“近所のおせっかいおばさん”に気軽に頼っていただければと思います。

老若男女、区民みんなの交流拠点「区民ひろば南大塚」

荒砥さんの活動拠点のひとつ、「区民ひろば南大塚」

荒砥さんの活動拠点のひとつ、「区民ひろば南大塚」

―荒砥さんはいろいろな取り組みを行っていますが、活動拠点のひとつに、「区民ひろば南大塚」がありますね。こちらは、どのような施設なのでしょうか?

赤ちゃんから高齢者の方まで、登録(登録要件あり)すればどなたでも利用できる、地域のコミュニティ拠点となっている施設です。季節行事やサークルの発表会などのイベントの開催の他、高齢者の方の健康活動支援、子育て支援、サークル支援といったさまざまな事業を年間を通して行っています。

―代表的なイベントを教えてください。
大きなイベントとしては、秋に2日間にわたって開催される「ひろばまつり」があります。昨年(2018年)は、利用者の方の歌や踊りの発表会、クリスマスツリーを作るワークショップやビンゴ大会など、幅広い年代層の方に楽しんでいただけるイベントが行われました。中でも人気が高かったのは、「子ども用品リサイクル」ですね。地域の方から、衣類やおもちゃなど使わなくなった子育て用品を寄付していただき、必要な方に無料で持って行っていただく、いわば「おさがり」的なシステムです。参加者が多く、大変好評をいただきました。

「豊島区 区民部 地域区民ひろば課」編集・発行の冊子より引用

「豊島区 区民部 地域区民ひろば課」編集・発行の冊子より引用

―ひろばは、街の中でどのような役割を担っていますか?

このあたりのエリアは交通の便もよく、便利なのですが、子どもが走り回れるような公園がありません。また、外国の方も多いですし、子育て中の方や高齢者までいろいろな方がいらっしゃるのですが、交流する場が少ないなと思います。なので、この区民ひろばが、みんなをつなぐ交流の場となればいいと思っています。

JR「大塚」駅南口から歩いてすぐ、よく目立つこの建物

JR「大塚」駅南口から歩いてすぐ、よく目立つこの建物

建物の手前を左折すると、「区民ひろば南大塚」の案内が見えてくるので右折します

建物の手前を左折すると、「区民ひろば南大塚」の案内が見えてくるので右折します

様々なサークルの活動場所である、1階「いきいきひろば」の入口です

様々なサークルの活動場所である、1階「いきいきひろば」の入口です

みんなで支え合い、暮らしやすい街に

―荒砥さんにとって、大塚はどんなエリアですか?

都電大塚駅から都電向原駅までの沿線に500種類位のバラが植えられていて、5月になると「大塚バラまつり」が行われていますが、人々を楽しませてくれるこのバラの植栽エリアも、当初は藪だらけの場所でバラが植えてあることも殆ど気づかれない程に荒れていました。ですが、地域の方がそれを残念に思って、肥料や水をあげたりとボランティア活動を始めたんです。その輪がだんだん広がり、遂には行政も手伝うようになって、今は新しいバラも植えて、自動灌水の機械も設置されました。大塚は、そういった活動に意欲的な方や底力のある方がいる、昔からの人同士の絆も息づいている、魅力的な街だと思います。区民ひろばや、私達のような支援団体もさまざまな活動を実施していますので、そういったものをうまく利用して、みんなで支え合いながら暮らしやすい街を作っていければいいなと思います。

―ありがとうございました。

特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークからのお知らせ

荒砥さんが編集に携わった「はるまち」は、生活保護利用者や元利用者の声を取り上げている

荒砥さんが編集に携わった冊子「はるまち」

冊子「はるまち」は、自身が生活保護利用者だったり、子どものころ保護家庭に育ったり、という人に実名顔出しでインタビューした記事が掲載されています。法人の理事長や荒砥さんも編集に参加していました。
法人ではこの冊子を無料で配布しています。ご希望の方は下記のメールアドレスに、題名「はるまち希望」、本文に郵便番号、住所、氏名をご記入の上、メールください。内容の異なった冊子を5冊、着払いでお送りいたします。

 

■特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク
https://toshimawakuwaku.com/
住所:〒171-0014 東京都豊島区池袋三丁目52番21号
TEL:090-3519-3745
FAX:03-3986-4556
info@toshimawakuwaku.com

■区民ひろば南大塚
http://www.city.toshima.lg.jp/080/kurashi/hiroba/shisetsu/007019.html
住所:〒170-0005東京都豊島区南大塚2-36-1
電話:【1階】03-5976-4399 【2階】03-3946-7665
利用時間:午前9時から午後5時
休館日:祝日、年末年始(12月29日から1月3日)

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