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なぜ星野リゾートやJR東日本は”大塚のまち”に注目したのか?!〜「トーキョーローカルの可能性|OTSUKA TOWN DESIGN MEETING vol.1」に行ってきました!

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6月5日の夕刻、大塚駅北口そばの《エイトデイズ》で開かれた
『トーキョーローカルの可能性|OTSUKA TOWN DESIGN MEETING vol.1』
大塚に拠点を持つ、山口不動産×RYOZAN PARK×東邦レオの共催よるトークセッション&パーティで、80人もの参加者が集いました。

昨春、星野リゾートが新ブランドとなる都市観光ホテルの開業の地に、そして、JR東日本が山手線プロジェクトのスタートに選んだ「大塚」。

そこで、記念すべきvol.1のテーマは、
『なぜ星野リゾートやJR東日本は”大塚のまち”に注目したのか?』

ゲストスピーカーはこちらの皆さんです。

◆星野リゾート OMO5東京大塚 総支配人
磯川涼子さん

◆JR東日本 事業創造本部
一木典子さん(所属は6月5日時点)

◆豊島区『わたしらしく、暮らせるまち。』推進室 アドバイザー
宮田麻子さん

ファシリテーターは、東邦レオ株式会社 代表取締役社長 吉川稔さん。緑化事業を通じてまちづくりを手がける吉川さんからは、「それを知りたかった!」という直球の質問が次々と飛び出しました。

外部からの刺激でさらに機運が高まる大塚のまち。熱気あふれる当日の模様をレポートします。

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*左から、ファシリテーターの吉川さん、ゲストスピーカーの磯川さん、一木さん、宮田さん

 

ずばり、大塚に注目したのはなぜ?

 

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*「まちそのものをお客様に楽しんでいただくことにチャレンジしている」とホテルの新たな取り組みについて語る磯川さん。

 

吉川:星野リゾートが大塚に出店したのはなぜでしょう。そもそも大塚は「リゾート」じゃないでしょ?(笑)

磯川:これまで星野リゾートには、都市観光という、巨大な旅行市場に提案できるブランドがありませんでした。そこで誕生したのが「OMOブランド」。調査・検討を重ね、「まちを楽しむホテル」というコンセプトが生まれました。ちょうどその頃に、大塚にある山口不動産のオーナーにお声がけいただいたんです。

吉川:大塚の印象はどうでした?

磯川:うーん。東京じゃないみたいな感じがしたかな……。でも、どこの駅前も似たようなチェーン店が並び画一的になりがちですが、大塚はそうじゃない風景が印象的でした。OMOでは大塚まちのガイドツアーをするにあたって、個人店の方々に「こんなホテルができます。紹介してもいいですか?」と、ちょっとイメージしにくいであろうことを説明して回ったんですが、思った以上にまちの人たちがウェルカムしてくださったんです。

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*大塚の第一印象についての言葉に詰まる磯川さんに、「言葉、選んでる!」の声と笑いが起き、会場は一気に和やかに。

 

吉川:「OMOレンジャー」ですね?旗を持って案内しているところに、よく出会います。

磯川:はい。それぞれの得意分野を生かして、まちをガイドしています。OMOのスタッフは、希望して移動してきたメンバーばかりで、その半分くらいは大塚界隈に住んでいます。生活者としてまちを楽しみながらホテルで働く。いい意味でワークライフインテグレーションになっています。

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吉川: では、JR東日本が大塚に注目したきっかけはなんだったのでしょう?

一木:昨秋、山手線沿線の魅力を発掘する目的で、世界5大陸からデザイナーを招き、まちを体験してもらうプログラムを実施しました。その時、池袋駅周辺を案内していたはずが、案内役の皆さんがはみ出すようにして大塚のまちも紹介してくださる。これは絶対におもしろいぞ、と思いました。

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*一木さん率いる山手線プロジェクトは、沿線のまちや人の個性を引き出す心豊かな都市生活空間「東京感動線/ TOKYO MOVING ROUND」の創出を目指す。

 

吉川:はじめは個人的に注目していたわけですね。社内では理解されましたか?

一木:理解されました。山手線利用者への調査で、沿線を東西南北4つのエリアに分けると、大塚を含む「北エリア」「よく知らないけど、行ってみたいまち」という結果になっていましたしね。メディアでのアプローチなら大きな投資は不要。失敗を恐れず、あえて大規模な開発の手が多く入っていないエリアからスタートできるという点で、共感されました。

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*大塚・巣鴨・駒込エリアにフォーカスした東京感動線フリーマガジンvol.00が参加者に配られた。

 

吉川:そんなエリアでありながら、豊島区が消滅可能性都市*と言われたのは、インパクトありましたよね。
(*2010年から2040年にかけて、20〜39歳の若年女性人口が5割以下に減少する市区町村のこと:国土交通省資料より)

宮田:あれはショッキングでした。でも、2014年にあの指摘をされてよかった。そこから区が大きく動きましたから。「わたしらしく、暮らせるまち。」推進室でも住民調査を実施し、意外と住みやすいし治安がいいなど、転入の前と後とで、区の印象にギャップがあることがわかったんです。

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*豊島区の民間公募によって、IT企業の広報担当から自治体の職員へと転身した宮田さん。

 

吉川:噛んでみないと良さがわからない、ということですね?

宮田:そうなんです。豊島区にある山手線5駅(目白・池袋・大塚・巣鴨・駒込)を見ても、カラーが全く違う。このいろいろある感じをちゃんと伝えたくて、豊島区に住む人・働く人が登場するウェブサイト《としまscope》を立ち上げ、今年4年目になります。お国自慢的なものではなく、「暮らし」を切り取るメディアとして、大塚新聞とも連携しています。

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*「豊島区は『都会のローカル』。おもしろい人が芋づる式に出てくる」と宮田さんは言う。

 

ホテルが創る、「ローカル」のリアリティーと曖昧さ

 

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吉川:最近、「ローカル」がすごくポジティブに捉えられるようになったと感じています。その点、磯川さんはどう捉えていますか?

磯川:観光業の視点で捉えると、ローカルって、その場所に行かないと体験できないモノやコトだと思います。その土地で育まれた食べ物、工芸や芸能など、ネットで得られる情報で完結するのではなく、リアリティーを伴う価値を、お客様に楽しんでいただけるよう努めています。

吉川:なるほど。僕自身のことですが、以前は大好きだった高級リゾートホテルのプライベート空間が、最近全然そそらない。ちょっと干渉された方がうれしいくらい。「公衆的」とか「シェア」の方が、かっこいいと思うようになった。OMOカフェも同じで、曖昧な空間がすごく心地いいんですよ。そのあたりの価値観って、何か変わってきたんでしょうかね。

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磯川: 確かに、OMOはパブリックエリアを重視しています。4階はホテルのフロントとカフェを融合させ、地域の方と旅人が交流できるよう、この一年間試行錯誤してきました。一方で、若い人は新しいコミュニティに入ることを躊躇するという調査結果もあり、もしかすると、「パブリックに対する意識の変化=大人」ということなのかもしれませんね。

 

次の時代、まちの玄関口(駅)のあり方は大きく変わる

 

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吉川:駅からの距離で不動産価格が決まるように、これまであらゆるものが駅を中心に計られてきましたよね。だけど最近、そうじゃない方が心地いいという感覚もあるんですが……。

一木:ここ何十年と重視されてきた利便性や経済合理性に飽きたり疲弊したりした大人たちが、主体的に何か変えようとしているのは感じています。山手線プロジェクトで大切にしているのは、「消費」から「創造」へ。駅の中や駅で働く人々のあり方の軸を変えていくことが大事なのではないか、という議論を重ねています。

吉川:駅が商業化し、きれいになったのはすごくよかった。みんながそれを求めていましたよね。でも、それが満たされた次の時代は、駅が玄関の「土間」のようになるといいなって。土間って通るだけの人もいれば、ゆるいたまりにもなる。近所の人が長時間しゃべりこむように。商業の比率を下げて、そういう発想で何かできたらおもしろいと思うんです。

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一木:すごく共感します。まち全体を家に例えたら、駅は玄関口。タッチレス、ゲートレスの時代を迎えたとき、構内に生まれる空いた空間をどう使うか、という構想を温めているところで、昨冬『東京感動線 特別展「あさって」の駅』を開催しました。明日(数年後)ではなくてあさって(少し先の未来)の少し突飛とも言える発想で、未来の駅を表現しました。社外の建築家、デザイナーと共に考えた中には、まさに土間に通じるアイデアも。引き続きウェブで公開中の「あさって」の駅をご覧いただき、多くの人と意見を交わしながら未来の駅を創っていきたいです。

 

100%の合意形成は無理。不条理からにじみ出る「まちの文化」

 

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吉川:東邦レオでも、グリーンをテーマにまちづくりやコミュニティビジネスを展開しています。やりながらわかったのは、みんなが一つになんて絶対にならないし、合意形成しようとすると余計にうまくいかないということ。「いいことしてるのに、なんで否定されるの?」なんてね。でもなんだか惹かれちゃう。そのあたり、宮田さんはたくさん経験されていますよね。

宮田:合意形成は本当に難しいです。行政としては、どうしても声の大きい人に向いてしまいがちですが、いかにサイレントマジョリティの声にも耳を傾けるか、なんですよね。公共空間の活用で心かげているのは、とにかくやってみて、風景を見てもらうこと。実験を重ねるうちに、最初はものすごく反対していた人が、実はさまざまな意見をお持ちで、大きな協力をしてくださることもあります。

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吉川:開発は急いじゃいけないんでしょうね。その土地ごとの「お作法」みたいなものを理解しようとするのはとても大切なことだと思うし、実はそれが一番楽しいのかもしれない。「行って戻って、結局一緒じゃん」でもよくて、不条理なことって、まちの文化にすごく大事だなと最近思うんですよね。

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宮田:わかります。地域のことって、なんて遠回りなんだろうと。でも、歴史がある土地ならではの複雑さはすごくいい。新旧異なる属性の人々が交わると、とても豊かになりますから。今の時代、昔のように路地などでの偶発的なコミュニケーションが生まれにくい。だから、先ほどの土間のような、内と外とが曖昧な場や、接点をわざわざつくることが必要なんです。

まちの小さな公園を地域の人のリビングルームとして活用するプロジェクトや、としまscopeがまちの人々の媒介になればいいなと。決して、意識の高い人だけでまちづくりをするのではなく、いかに入り口をカジュアルにして敷居を下げるかを心がけています。

 

誰もがまちの主役。ジャムパーティーも盛り上がりました!

 

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トークセッションの後は、OTSUKA JAM party!

熱心にメモを取っていた参加者の皆さん。大塚住民はもちろん、まちづくりを手がける人や会社員、クリエイター、学生と、実に多様な人々が集まっていました。

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盛り上がるパーティの最中、「印象に残ったことは?」と尋ねて回ると、
「まちの個性というものを改めて実感した」「全員が納得することは絶対に無理だという前提でどう動くかが勉強になりました」「大塚がどんどん変わっているという自分の感覚とゲストの話が重なり、今後の活動に生かせそう」などなど、皆さん興奮気味に感想を聞かせてくださいました。

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大塚のまち全体をテーマパークに見立て、さらにアップデートしていくOTSUKA TOWN DESIGN MEETING。vol.2の開催も決定しました。

これからの公共空間のつかいかた|OTSUKA TOWN DESIGN MEETING vol.2
日時:2019年8月8日(木)
19:00-21:00(開場18:30)
場所:RYOZAN PARK 大塚
(豊島区南大塚3-36-7 6F)

イベントの詳細・お申し込みはこちらから。

乞うご期待です!

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星野リゾート OMO5 東京大塚
https://omo-hotels.com/otsuka/

東京感動線/TOKYO MOVING ROUND
https://www.jreast.co.jp/tokyomovinground/

JR東日本 東京感動線 特別展「あさって」の駅
https://www.jreast.co.jp/tokyomovinground/exhibition/asatte/

としまscope
https://toshima-scope.city/

エイトデイズ
https://eight-days.com/

山口不動産
https://ba-dev.jp/

RYOZAN PARK
https://www.ryozanpark.com/en/

東邦レオ
https://www.toho-leo.co.jp/

 

記者:後藤菜穂
*本記事には、東邦レオ提供の写真も掲載しています。

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