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TOKYOの個性を山手線の各駅から掘り起こす!JR東日本の新プロジェクトが大塚のまちに注目する理由とは

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ずいぶん前の話になりますが、18歳で上京した記者は、当時「山手線」でたくさんの「東京」を感じました。おしゃれをして降り立った渋谷・原宿。秋葉原で一人暮らしの家電をそろえようと、母と乗ったのも山手線。

まちを走る鉄道は、沿線の雰囲気によって、車中にどこか特有の空気が流れます。しかし、そんな特有感のなさが山手線らしさ。ほんの数分走っただけで、開いた扉の外の空気が一変することも、いつしか当たり前になっていました。

今JR東日本は、沿線の「まちづくり」に取り組んでいます。その一環として、山手線プロジェクトが発動しました。

コミュニケーションワードは「東京感動線/TOKYO MOVING ROUND」

沿線の数あるまちにスポットを当てるプロジェクトの第一弾に、大塚・巣鴨・駒込が選ばれたのはご存知ですか? いったいどんな取り組みが始まっているのか、プロジェクトを率いる一木典子さん、馬見新(まみしん)香織さんにお話を伺ってきました。

 

世界を魅了する「東京らしさ」は山手線でつながる。

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JR東日本がまちづくりに乗り出したきっかけは、順次進められた駅舎の開発にあるようです。整備されてうれしい反面、「どこの駅も似ている」という声が上がるようになりました。「画一的な駅ではなく、まちにひらき、まちにつながる駅のあり方を模索したい」と一木さんは言います。

一木さん(以下、一木)「世界の都市であるシンガポールやロンドン、ニューヨークなど、それぞれが持つ独自性にワクワクしませんか? 一方で、東京の『らしさ』は何かというと、それは、歴史も最先端もギュッと集中しているところなんです」

記者「東京の最大の魅力を表現し得るのが『山手線』、ということでしょうか」

一木「そうなんです。山手線沿線のまちには、伝統的なもの、最先端のもの、そして自然や文化もあって、居心地がよくてワクワクもする。山手線を一周することで、それら全てがつながるんです」

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記者「そういう視点で山手線を見たことなかったです!」

一木「東京感動線では、山手線沿線のまちを掘り起こして、ディープな魅力を再発見しながら伝えていく予定です!」

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東京感動線のフリーマガジンが発刊されています。名店・名所がつづられた紙面は、読み応えたっぷり。まちの働く人、集う人の心情がリアルに描かれ、すぐそこにある営みが感じられます。配布場所は、大勢の人が行き交う駅ではなく、主にまちのお店。手にした人がゆったり読めるようにとの計らいからです。ぜひ手に取ってみてくださいね!
(ウェブサイトでもご覧いただけます。)

《フリーマガジン配布場所》
https://www.jreast.co.jp/tokyomovinground/list/

《東京感動線ウェブサイト》
https://www.jreast.co.jp/tokyomovinground/

 

よく知らないけど、行ってみたいまち。

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*意外と気づかない、暮らすまちの「らしさ」。まちの豊かさを伝え合うと、新たな魅力がにじみ出るかもしれない。

 
記者「ところで、なぜ東京感動線の第一弾に大塚・巣鴨・駒込が選ばれたのでしょう」

馬見新さん(以下、馬見新)「プロジェクト発足に際してマーケット調査をしたところ、『よく知らないけど行ってみたい』エリアとして浮上したからなんです」

記者「確かに、大塚駅ってどの辺だっけ?なんて言われます……」

馬見新「調査の結果、利用者の95%が沿線以外に住み、山手線をターミナルとして使っていることがわかりました。そのほとんどが山手線一周のうち、どこか4分の1を利用していて、およそ東西南北4つのエリアに分けることができるんです」

記者「すると、大塚・巣鴨・駒込は『北エリア』になるわけですね」

馬見新「はい。おもしろいことに、北エリアについては、ただ単に『よく知らない』という回答よりも、『よく知らないけど行ってみたい』を選択した人の方が多かったんです。さらに言えば、全国的に人口減少が進む中で、東京の中心部は人口が増えています。北エリアは、居住エリアとしての魅力もポテンシャルも高い。ならばと、まずは北エリアにスポットを当てることにしました」

 

「まちの個性」は人格と同じ。一つの面だけでは語れない。


*東京感動線は動画配信もしている。「星野リゾート OMO5 東京大塚」篇では、登場する人々が思い思いにまちを語る。

 
東京感動線でフォーカスするスポットは、そのエリアに住むキーパーソンに「自身の暮らしをリアルな目線で語ってもらう」というスタンスで選んでいます。今回のキーパーソンはRYOZAN PARKのオーナー、竹沢徳剛さんとレイチェルさんご夫妻。竹沢さんとレイチェルさんの生活圏である大塚・巣鴨・駒込が舞台となりました。

記者「動画からは、便利さやおしゃれさだけではない、まちの個性を感じました」

一木「まちにはそれぞれ、人格のようなものがあります。人の個性が、背の高さやメガネをかけているとかでは語りつくせないのと同じですね。重層的なまちの個性を、多面的に捉えることを大切にしたい。“機能的”とか“経済的”といった豊かさではなく、醸される“暮らし”の豊かさがあるはずなんです」

記者「住民の目線でまちの個性をつかむ、ということでしょうか」

一木「そうです。そこで生き生きと暮らす人たちのありようが、まちの個性を表していますから。我々は、決して誰かが決められるものでも、一面だけで語れるものでもないことを伝えようとしています。そうして伝わり、一人ひとりが感じとるものが『本当』なのではないかと、議論の末にたどり着きました」


*「RYOZAN PARKオーナー 竹沢徳剛」篇。新しくて懐かしい「らしさ」が伝わる。

 
記者「一面を切り取って発信する方がインパクトはあるけど、あえて多面的に捉えてみる。チャレンジでもあるわけですね」

馬見新「ただ今回、大きな手応えを感じることもできました。それは、まちの皆さんが『そうそう、大塚ってこういうまちだよね』とすごく喜んでくださったこと。動画のシェアやフリーマガジンの配布など、自分ごととして発信してくださいました。企業がまちの魅力を語ると宣伝っぽさ出てしまいますが、そこで暮らす人が語り主になることで、信頼できる情報として広がるのがうれしいですね」


*「café’+bar Leandroマスター 鈴木勝宏」篇。マスターが言葉を尽くして語るマデイラワインへの想い。店を構えた背景が紐解かれる。


「大塚のまちの音」がオーディオレーベルになった。

東京感動線は、まちの個性の表現方法として「まちが奏でる音」にも注目。ブランデッドオーディオレーベル「SOUNDS GOOD」にASMR(エーエスエムアール)を提供しています。

そもそもASMRとは? 調べてみました。
「Autonomous Sensory Meridian Response」の頭文字を取った略語。かなりの意訳になりますが、「脳に心地よく響く音」といった意味を持つそうです。ASMRで取り上げられる音は、風や雨などの自然界に響く音から、生活音までさまざまです。

SOUNDS GOOD ―ブランドが、音を奏でる―


*順次リリース中のサウンドは「おにぎり専門店ぼんご/調理場」「名手酒場串駒本店/関西火鉢」「café’+bar Leandro/マデイラワイン」「山手線/車輪のやすりがけ」。まずはご一聴を。

 
「一般の人が普段耳にすることのできない、企業独自の音」を配信する「SOUNDS GOOD」にて、「大塚のまちの音」と「鉄道会社ならではの音」の世界が表現されています。録音には、複数の特殊マイクを使ったそうですよ。ぜひイヤフォンやヘッドフォンで聴いてみてくださいね。

一木「ASMRは若い人の間でブームになっているそうです。この音を聴くうちに、いつの間にか大塚のまちが身近になってもらえるといいですね」

記者「ところで、山手線の電車って、車輪のやすりがけをしているんですね!」

一木「そうなんです! 沿線の地形は高低差が大きくカーブも多いため、車輪の表面が擦り減ったり傷がついたりします。快適な乗り心地を維持するために定期的に車輪を削っているんですよ」

 

スタートしたばかりの東京感動線。お話を聞かせてくださり、ありがとうございました!

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*東京感動線のフリーマガジンを手に、「大塚は若い人たちが暮らしを楽しんでいるのがいい」と語る一木さん(右)と、ウェブサイトへのこだわりや今後の展開をお話くださった馬見新さん(左)。

 
記者「最後に、大塚新聞の読者へメッセージをいただけますか?」

一木「人情味あふれるまちの方々からお話を伺い、皆さんが手をかけてまちをつくってこられたことを感じました。プロジェクトに携わるメンバー全員が、大塚を大好きになったんです!」

記者「そ、それはうれしいです!」

一木「それともう一つ、地方に住む私の友人が、東京感動線を見て『東京の中で、一番行きたい場所が大塚になっちゃった』と。人と人のつながりで、まちの人が生き生きとしているのが伝わったそうです。もしも『東京感動線を見て来ました!』という人がいたら、『いらっしゃい!よく来たね』と迎えていただけたらうれしいです」

記者「もちろんです!」

馬見新さんによると、Vol.00としてフォーカスされた大塚・巣鴨・駒込エリアに続いて、原宿・代々木エリアの発信が始まりました。「取り上げるエリアが移っても、それぞれで盛り上がった空気はしっかり持続させたい」とのこと。ぐるりと一周したら、また北エリアのどこかにスポットが当たるそうですよ。

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東京感動線のFacebookページでは、山手線沿線の情報が随時投稿されています。ぜひチェックしてくださいね!
https://www.facebook.com/tokyo.moving.round.jp/

今回の取材で、山手線の見方が少し変わりました。月並みですが、駅のホームですれ違う人それぞれに人生があることを感じると、人混みさえも不思議と愛おしくなります。まちを形づくるのは暮らしている私たち自身。さまざまな視点をまちの人と一緒に育みたい、と改めて思いました。

記者:後藤菜穂

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