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軌道敷沿いのスペースから人がつながり、街を紡いでいく!「都電とバラ」、南大塚都電沿線協議会の取り組み!

最優秀賞 丹羽 由美子3
*大塚バラ祭り第7回フォトコンテスト最優秀賞丹羽由美子さんの作品。「バラの香りの沿線」。

穏やかな秋晴れの休日。都電荒川線(東京さくらトラム)向原停留所から大塚駅前まで軌道敷に沿って歩いていると、秋バラが落ち着いたように今年も咲いています。帽子を被り自慢の一眼レフを両手にバラにレンズを向けているシニア女性、自転車を漕いでは停まりスマホでバラを一輪ずつ撮っているお姉さん、バラの香りをかいでいるおじさんもいました。軌道敷沿いの両サイド約1kmはバラの散歩道です。10月14日には、大塚駅前「TRAMパル大塚」にて、大塚バラ祭りのオープニングセレモニーが行われました。バラの即売会、バラ祭りフォトコンテスト表彰式、フリーマーケットで賑わっていました。向原から大塚駅前の都電軌道沿いには一体なぜバラが植わっているのでしょうか?誰がどのようにバラを育ててきたのでしょうか?
南大塚都電沿線協議会会長小山健さんにお話を伺いました。

入賞 内山 茂のコピー
*軌道沿いはバラの散歩道。大塚バラ祭り第7回フォトコンテスト入選内山茂さんの作品。「みんなカメラマン」。

バラ祭り全体
*今秋のバラ祭りセレモニーは初めてTRAMパル大塚で開催され賑わいました。

バラ祭り2
*バラ祭りセレモニーではバラの即売会もおこなれました。

軌道敷のゴミの撤去、雑木の伐採から偶然バラが発見される!

今から約10年前までは、都電軌道敷沿いには、不法投棄のゴミ、ベッドや自転車まで捨てられていました。雑木や植物も手入れがされず荒れ放題で汚い状態でした。商店街、近隣住民が自分たちで何とか綺麗にしよう、活気ある街にしようと2008年12月に南大塚都電沿線協議会(以下協議会)を発足し、翌年から本格的に活動を開始しました。フェンスの内側は東京都交通局の管轄、外側は豊島区の管轄で両者に「私たちが綺麗にしますから」と許可をとり、不法投棄されたバイクや自転車などのゴミの撤去、沿線の雑木、不要植物を伐採していきました。除去活動は約1年がかりで少しずつ行っていき、その総量は4tトラックで約8台分ともなりました。ゴミや雑木を除去すると、偶然にバラが約100株ほど植わっているのを発見しました。誰もバラが植わっているとは思わなかったそうです。このバラは約30年前に豊島区が軌道敷のフェンスを綺麗にした時に植えたものだそうです。

雑木の撤去.001
*何年も放置された雑草や種々雑多な植物が伸び放題でしたが、除去には沿線沿いに住む方々もお手伝いしてくださいました。(写真は小山さん提供)

バラ品種の多さは都内で1番。無農薬、有機栽培にこだわる!

長年ゴミや雑木に埋もれながらも沿線にしっかりと育っていたバラ。この場所でバラが育つのならば、バラをたくさん植えて、沿線をバラロードにしてみんなで楽しめるようとにしようと協議会での意見がまとまりました。ところが、豊島区公園緑地課に申請をすると、バラは管理をするのが大変だからという理由で反対されてしまいました。そこで協議会はバラを自分たちでしっかり管理していくこと、街の活性化につながることを説明し、承諾を得ることができました。

2010年からバラを植える活動を開始しました。どんなバラを植えるかについては、1年を通じて沿線にバラが咲いていた方が楽しめた方が良いので四季咲きのバラをたくさん選びました。毎月第3日曜日を定例作業日とし、この年に300種、410株を植樹をしました。軌道敷沿いの狭いスペースに植えるため土作りに力を入れ、また人通りがあることから無農薬、有機栽培にこだわり、剪定で出た枝木や雑草は回収してリサイクル堆肥としても活用しています。

大塚駅前から向原間の踏切ごとに9つのエリアに分けて、イギリスのバラ、フランスのバラ、日本のバラ、香りのバラ、有名人シリーズ等々のテーマで楽しめるようになっています。現在、天祖神社裏から向原停留場までの軌道敷沿いには約500種720株が植えられ、昨年の大塚駅南口前「TRAMパル大塚」の完成に伴い広場周囲にも200種400株を植樹し、品種の多さでは都内で1番となっています。
肥料作り.001
*肥料作りにもこだわり、有機無農薬で育てています。(写真は小山さん提供)

みんなで植樹.001
*毎月第3日曜日の定例作業で手入れや剪定、植樹を行っている。(写真は小山さん提供)

JR大塚駅賞 飯塚 道雄
*春には鮮やかなバラロードとなる。「バラ坂の都電」。大塚バラ祭り第7回フォトコンテストJR大塚駅賞飯塚道雄さんの作品。

「都電とバラ」の人との繋がり

協議会では、バラの街大塚」を多くの方に楽しんでもらうため、様々な企画を行ってきました。冒頭でも紹介した「バラまつり」は2012年から毎年春と秋に開催し続けています。
2013年には地域の高齢者の方に散歩の機会を提供する目的で、バラ見守り隊を結成しました。散歩中ゴミがあったり枝が折れていることに気がついたら、協議会に知らせてもらうことで手入れも迅速にでき、高齢者と健康上のコミュニケーションを取ることができます。
2014年には西巣鴨中学校3年生の卒業記念にバラの名札を一人に一つずつ配り、それぞれがバラを名付けるイベントを行いました。
また、豊島区防災協定を結んでいる山形県村山市には東沢バラ園があり、視察研修に行った縁で、村山市の商工文化観光課の方を「大塚商人まつり」への参加につなげ、地域を超えてバラをきっかけにした繋がりや交流も生まれています。

こうした「都電とバラ」の街の繋がりや魅力の創出の実績が評価され、2015年には「第25回全国花のまちづくりコンクール」大賞、「第35回緑の都市賞」奨励賞を受賞しました。バラを育てやすいようにと、軌道敷には水道と給水ポンプも設備されました。

バラ見守り隊.001
*バラ見守り隊を結成。バラロードを歩くことで健康づくりに役立てることや、仲間とふれ合い引きこもりの予防にも役立てようとしてます。(写真は小山さん提供)

水道
*活動の実績が評価され、水やりがしやすいように軌道敷沿いには水道と給水ホースが設置された。

「都電とバラ」の今後について

大塚駅から南口に出ると、「TRAMパル大塚」広場周囲にはバラが植わっていますが、軌道敷をたどると天祖神社裏まではアスファルトで舗装されたままです。バラロードは途切れ、バラがどこにあるのかわかりにくい状況です。ここはかつて駐輪場だった場所で、「TRAMパル大塚」の地下に駐輪場が完成したため現在は使われていません。大塚駅を降りた時にバラが続いている風景にしようと、小山さんたちはこの約30mの軌道敷沿いを花壇にするため区と東京都に要望をし、今冬にも工事が始まる予定です。

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*新たにバラ花壇が計画されているエリア。大塚駅前から向原までバラロードが繋がる日も近い。

また、豊島区では現在「アフター・ザ・シアター」と称して、演劇やアートカルチャー鑑賞後の終電までの時間、その余韻を誰もが楽しんでいただく空間づくりの実現に向けた検討をしています。アウルスポットや池袋で芸術を楽しんだあと、バラの香りを愛でながら都電沿いを歩いて大塚に来て、1杯やるのは素敵な過ごし方なのではないでしょうか。
現在、向原停留場でバラロードは終わっていますが、東池袋や雑司が谷の地域の人たちも軌道敷のスペースを活用し、もしバラを植えるのならば喜んで協力して一緒になってやっていきたいと小山さんは言います。
協議会の活動を開始して10年あまり。これからも変わっていく大塚の街を「商店街や町内の人たちだけでなく、新しい人たちをどんどん巻き込んで行ってもっともっと活気ある街、素敵な街にしていきたい」。都電の軌道敷のスペースを資源とし街を紡いでいく活動はこれからも続いてきます。

小山さん
*南大塚都電沿線協議会の取り組みやこれからを丁寧に語ってくださった小山健さん。大塚接骨院の院長でもあります。ありがとうございました!

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南大塚都電沿線協議会はお手伝いいただける方を募集中です!!
定例作業は毎月第3日曜日の9時から行っています。
集合場所は大塚台公園です。
月によって作業は異なりますが、草取り、剪定、水やり、肥料作りを行っています。
お気軽にお越しください。
詳しくは南大塚沿線協議会のホームページをご覧ください。

南大塚都電沿線協議会
http://www.toden-rose.com/wp/

記者:石田 耕一
大塚在住歴2年。大塚をもっと知り、楽しみ、味わいたいと思って記者となる。都電がそばを走っていて幸せを感じている。作業療法士、フェルデンクライスプラクティショナーとしての顔も持ち、「楽な身体の動き」に興味を持っている。好きな言葉は「ひとやすみ」。

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