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東京大塚阿波おどりまであと1カ月!今も昔も大塚はお祭り大好き!

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ふらっと入った飲み屋の親父さんに、最近、近くに越してきましたと話を振ると「大塚はお祭り好きの人がいっぱいで楽しい町だよ!」と教えてくれました。なかでも阿波おどりは大変な賑わいだと言い、それがとても印象的で、毎年八月を楽しみにするようになりました。もう五年も前のことです。

阿波おどりの季節が近づき、今年の筆者は大塚新聞の記者として実行委員会に取材できる機会を得ました。聞きたいことはたくさんあります。

一体どうして徳島の祭りが大塚で始まって定着したのか、踊りに参加したい人はどうすれば良いのか、十年後の阿波おどりはどんな姿になっていると思うか…。

気になることを全部、東京大塚阿波おどり実行委員会「南大塚ネットワーク」で広報担当を務める、バイスキャプテン 辻口正彦さんに尋ねました!

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最初は「ばか踊り」と呼んでいた!?

辻口さんに話を伺うに当たっては、お祭りの参加・企画・運営を通して楽しみながら地域活性化に貢献する「オマツリジャパン」さんの取材に同席させてもらいました。

写真は左から、オマツリジャパン お祭りクリエイターの大内花菜子さん、同社 代表取締役 加藤優子さん、南大塚ネットワーク バイスキャプテン 辻口正彦さんです。

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阿波おどりの本場は、阿波の国「徳島」です。はっきりした起源は不明なものの、県内各地で江戸時代から続いてきた盂蘭盆の踊りが原型とされ、昭和初期から「阿波おどり」と呼ばれるようになりました。

阿波おどりは、グループ単位で踊り、グループのことを「連(れん)」と呼びます。徳島はもちろん、全国各地に大小多数の連があり、300人以上の規模を持つ連もあるそうです。大塚にも連があり、中には徳島で開催された阿波おどりのコンテストで優勝経験のある連もあるんですよ。

さて、基礎知識はこのくらいにして、早速、辻口さんに話を聞いていきましょう。

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大塚新聞&オマツリジャパン(以下、大塚新聞)「まずは、大塚で阿波おどりが始まった経緯を教えてください」

辻口正彦さん(以下、辻口)「私が広報を引き受けて十年ほどなので、始めた当時のことは分からないことが多いです。1971年(昭和46年)から始まっていて、2018年(平成30年)8月25日で46回目。数えてみると1回少ないことが分かると思いますが、実は最初の頃に一度だけ休んだ年があるそうです。その頃は未だ実行委員会がきちんと整備されておらず、運営上の理由で開催できなかったと聞いています。東京では大塚より高円寺が古く、1957年(昭和32年)から始めています」

大塚新聞「高円寺が面白いことをやっているから、真似したのですか?」

辻口「そこは分かりません。ただ、高円寺では開催当初は『高円寺ばか踊り』と呼んでいました。高円寺に限らず、全国的に『ばか踊り』のような町興しをやろうという風潮があったみたいです。『大塚でもやろうよ』と言っているうちに高円寺に先を越され、『大塚でもばか踊りを』となっていったそうです」

編集部で別途調べたところによると、「ばか踊り」の名称は高円寺の発起人達が「阿波おどりと名乗るには、あまりに阿波おどりを知らず憚られる」と配慮したためだそう。やがて「高円寺阿波おどり」に名称を改めますが、もしこの改称前に大塚も始めていたら「大塚ばか踊り」になっていたのかも!?

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踊るにはどうすればいい?飛び入り不可の驚愕の理由!

閑話休題。

大塚新聞「大塚ならではの特徴はどういうところですか?」

辻口「たとえば、高円寺では駅前を中心にあちこちの通りで踊ります。一方、大塚は基本的に1つの通りで流し踊りです。これは大塚の地理的な条件が大きく影響しています」

大塚新聞「大塚では毎年、JR大塚駅南口のロータリーから東京メトロ新大塚駅へ向かう道を封鎖して踊りますね」

辻口「そうです。第1回から同じ通りを使っています。この通りは大塚駅より先の北口に抜ける交通量が少なくて、こう言っては何ですが、封鎖しても大きな混乱にはならない通りなんです。この通りを存分に使えるので、他の路地で踊る必要がありません。現在、大塚駅北口の再開発が進んでいますが、交番の脇の北口と南口を結ぶ道は北から南への一方通行になり、自転車の通れる道を広げることになっています」

大塚新聞「祭りのことしか考えないで言えば、願ったりですね」

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辻口「さらに去年、南口の広場が整備されました。TRAMパル大塚です。流し踊りは、巣鴨信用金庫のある南大塚三丁目の交差点から、大塚駅南口の交差点までが会場。そして、組踊りはスタート地点である南大塚三丁目の交差点側で行っていました。去年、試しに組踊りを駅前の広場でやってみたところ、駅前効果で明らかに集客が増えたんです。これは広場を活用しない手はないぞとなり、今年は大会本部もりそな銀行の前から広場に移して、元の本部の場所は来賓席にしようとか、セレモニーも駅前にしようといった計画が持ち上がっています」

大塚新聞「阿波おどりも時代と共に変わっていくんですね。ニューカマーの住人や外国人も増えていると思いますが、そうした人たちも踊れるんですか?」

辻口「もちろん、踊れます。各連でメンバーを募集していますから、自分の条件の合うところに参加すれば良いだけです。ウェブで検索すればたくさん出てきますよ。私は把握していませんが、どこかの連に所属して踊っている外国人は居てもおかしくないと思います」

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大塚新聞「連に参加せず、飛び入りでは踊れないんですか?」

辻口「飛び入りは禁止しています。徳島では飛び入りで踊れますし、大塚も以前は禁止していなかったのですが、事情があって禁止になったのです」

大塚新聞「いったいどんな事情があったのでしょう?」

辻口「私が実行委員会に関わるずっと前のことです。としまテレビが毎年生中継していますが、羽目を外して真っ裸で踊って生中継に映ってしまった飛び入りの客がいたんだそうです。そういうことがあったので、一般参加は断ることになったと聞いています」

大塚新聞「そ、それは禁止にもなりますね…」

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土砂降り程度なら踊っちゃう人たちに囲まれて「やっぱり祭りが好き」

大塚新聞「連に加入する必要があるとなると、旅行者などは見学しかできませんね」

辻口「現状はそうです。ただ、先程話した広場の有効活用として、広場でだけは飛び入りでも踊れるようにしてはどうかといった声も上がっています。旅行で来ている外国人なども気軽に参加できるスペースを作るわけです。ハッピを貸し出して、着られるようにするだけでも喜んでもらえるのではないかと考えています」

大塚新聞「運営していて困ったことはありますか?」

辻口「実行委員は30人くらいいますが、実は結構な数の委員が当日踊ってしまうんですよ。私にとってはそこが悩みです(笑) 私は踊らないもので、周囲にせめて自分の役目は果たしてから踊ってくれとお願いしています。熱中症はときどき出ますし、土砂降りや、雷雨だった年もありましたが、幸い中止にはなったことはありません。彼らは『土砂降りや雷雨程度なら踊る』と言って本当に踊りますから、中止にならないんです(笑)」

大塚新聞「皆さん、お祭りが大好きなんですね」

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辻口「自分自身を振り返ると、踊らない人間が何で毎年関わるのかと思いますが、踊らなくても『やっぱり好き』なんですかね。ただ、踊らないからこそ任されることもあって。たとえば、ある年から、車椅子用のテントを作ることになったんです。放っておくと車椅子の人はギャラリーの前に出て見物なんてまずできませんから。誰がそのテントの世話をするんだって話になって、当日踊らない私に白羽の矢が立ちました。慣れないうちは面倒に感じました。でも、やってみると車椅子のお客さんが翌年私を覚えているんですね。『去年はありがとう、今年もよろしく』と。こちらが覚えていなくても、向こうが覚えている。あれは嬉しかったです。やり甲斐があるなって思いました」

大塚新聞「いいお話ですね。辻口さんの『やっぱり好き』が伝わってきます(笑)」

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十年後の阿波おどりにはニューカマーも参加している?

大塚新聞「十年後の阿波おどりはどうなっていると思いますか?」

辻口「十年後というと2028年ですね。まだ続いていることは間違いないと思います。南口が整備されて少し変わって来ているように、北口も整備されたらまた変わるんじゃないでしょうか」

大塚新聞「世代交代や新しい住人の参加は大丈夫そうですか?」

辻口「委員については50代の私が若い方なくらいですから、もう少し若い人材がほしいですね。でも、踊り手は若い世代がどんどん入ってきています。大塚で生まれ育った40代以下は、物心ついた頃には阿波おどりが当たり前にある環境です。生活の拠点を他所に移しても踊りに戻ってくる人もいるくらい。一方でニューカマーの参加も増えています。商店街に店を出した20代の若者が、祭りに参加するにはどうすれば良いのかと、私のところに相談に来ます。こうした若者達が十年後に地元育ちの若者達と一緒に祭りを盛り上げてくれていると嬉しいですね」

大塚新聞「本日はありがとうございます」

辻口さんの話を伺っていると、かつて聞いた「大塚はお祭り好きの人がいっぱいで楽しい町だよ!」という言葉が耳元によみがえってきます。「本当にいっぱいいるんだな!」と心から実感できて、またひとつ大塚が好きになりました。今年もあの通りで沢山の笑顔と熱気を見るのが楽しみです。

* 写真は「東京大塚阿波おどり実行委員会」の許諾を得て掲載しておりますが、肖像権に関して問題があるようでしたらご一報ください。

東京大塚阿波おどりウェブサイト▼
http://www.ohtsuka-awaodori.com/
オマツリジャパンウェブサイト▼
https://omatsurijapan.com/

記者:諸山泰三
普段はPCや家電の記事を書くフリーランスライター兼編集者。大塚の十年後の姿に興味があります。大塚で夜な夜な飲み歩いていた時期もありましたが最近は自重気味。バナナアレルギーで、カレーは中辛派。寒がり。夏でも長袖。歯医者に通うのが好き。蜘蛛は殺しません。

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