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フランス文学好き、読書好き、そして建築好きの方は必見! 『鈴木信太郎記念館』へ行ってきました。

みなさん、こんにちは〜!
日ごろ『大塚新聞』を愛読してくださっている、全国の文学好き(それもフランス文学)、本好き、そして建築ファンの皆さん、朗報です。

東京メトロ丸ノ内線「新大塚駅」から徒歩5分のところに、今年3月28日から『鈴木信太郎記念館』が開館いたしました! 鈴木信太郎ってどんな人? 記念館には何があるの? そもそも、「文学と建築」って何……? と疑問をお持ちの方、ご安心ください。今から『大塚新聞』が偵察に行ってまいりますよ!

大塚新聞
「こんにちは〜!」

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木下さん
「どうもこんにちは。ようこそいらっしゃいました」

こちらが『鈴木信太郎記念館』の生涯学習指導員、木下和也さん。今日は館内をガイドしてくださるとのことですが、今、隣に並んでいらっしゃる方が、鈴木信太郎さん?

木下さん
「そうです。どなたでも一緒に写真が撮れますので記念にどうぞ」

大塚新聞
「これが俗にいう『インスタ映え』ってやつですね。それはそうと、鈴木信太郎って一体何者なのですか?」

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木下さん
「鈴木信太郎は、20世紀前半の日本のフランス文学研究黎明期、フランス文学・語学の研究体制を確立し、研究者および教育者として活躍した人です。ステファヌ・マラルメなど「象徴派」の詩人や、ヴィヨンを中心とする中世文学を研究し、フランス文学者として功績を遺していますね」

大塚新聞
「ぬおお、そんな凄い方だったのですね……!」

木下さん
「しかも、稀覯本(きこうぼん:滅多にない珍しい本)の蒐集家としても知られ、当館ではその蒐集資料のうち18世紀にフランスで刊行された辞書類や、谷崎潤一郎をはじめ信太郎と交流のあった文学者からの謹呈本など、貴重な書籍を所蔵しているんですよ」

大塚新聞
「建物が珍しいわけは?」

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木下さん
「信太郎は1919年に東京帝国大学文学部を卒業、翌年2月に文学部副手、1921年には文学部講師になりました。その後、1925年に私費留学生としてフランスに渡り、文学を研究するとともに劇場通い古書蒐集に熱中していきます」

大塚新聞
「優雅ですな〜!」

木下さん
「ところが1926年、父の危篤の知らせを受け、留学を切り上げざるをえなくなります。自身はシベリア鉄道を使って帰国、フランスで購入した稀覯本は船便を使って日本に送ったのですが、不幸にも約1000冊が舟火事により焼失してしまうんです。そのショックで信太郎は一時期神経衰弱に陥りました」

大塚新聞
「そ、それは気の毒すぎます……」

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木下さん
「そうなんです。それもあって1928年、自宅に書斎(記念館書斎棟)を構えるときは鉄筋コンクリート造にしました。火事がよほど怖かったのでしょうね。おかげで1945年4月13日の『城北大空襲』罹災に際しても、書斎は焼け焦げにならずに済んだわけです」

大塚新聞
「すごい、そこまでいくと執念ですね!」

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木下さん
「そんな鈴木信太郎氏の居宅を、豊島区では平成22年にご遺族から寄贈いただきました。そこから修繕工事など、オープンに向けて様々な準備を進め、ようやく開館に至ったのです」

大塚新聞
「建物自体も、区の有形文化財に指定されたそうですね!」

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木下さん
「はい。昭和3年(1928年)に建築された鉄筋コンクリート造の書斎棟、戦後の昭和21年(1946年)に建築された茶の間・ホール棟、そして、明治20年代に埼玉県北葛飾郡富多村下吉妻(現在の春日部市)に建築された、鈴木家本家の屋敷部分を昭和23年に移築した座敷棟という、建築年代の異なる貴重な建造物が同一敷地内に所在することから、区の有形文化財(建造物)に指定されました」

大塚新聞
「すごいなあ。ある意味キメラ的な建築物ですよね」

木下さん
「記念館には、こうした増改築の変遷を物語る資料として、建築図面、書類が多く残されています。書斎棟北側廊下では、これらの図面資料を中心に展示しました」

大塚新聞
ほえー! よく残っていましたね……」

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木下さん
「その書斎を案内いたしますね。こちらの書斎では、主にフランス文学に関する信太郎の著作、蒐集資料を、
1. 「フランス文学の受容と展開」
2. 「象徴主義フランス詩の世界」
3. 「信太郎の愛蔵書」
4. 「信太郎の交友関係」
5. 「信太郎の篆刻篆刻(てんこく:機や石などの印材に文字を掘る事)
という、5つのコーナーに分けて紹介しております」

大塚新聞
「いやあ、谷崎潤一郎の初版や、装丁の凝りまくったランボオ詩集など、見るからに貴重な書籍が勢揃いですね」

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木下さん
「建物の特徴としては、書斎の南側に5つのガラス窓があり、その上部に信太郎自身のデザインによるステンドグラスがはめられています。そこにはフランス近代の象徴派詩人、ステファヌ・マラルメの有名な言葉が掘られているんです」

大塚新聞
「どんな言葉ですか?」

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木下さん
「LE MONDE EST FAIT POUR ABOUTIR A UN BEAU LIVRE.(世界は一冊の美しい書物に近付くべく出来ている)」

大塚新聞
「なんて美しい言葉なんでしょう」

木下さん
「まさに信太郎の、書に対する思いと、自分の研究に対する意識、この書斎への思い入れを象徴するような言葉ですよね」

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木下さん、ありがとうございました。とっても親切な解説のおかげで、鈴木信太郎のことを深く知ることができました。

みなさんもぜひ、遊びにいらしてくださいませー

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「豊島区立鈴木信太郎記念館」
豊島区東池袋5-52-3
【開館時間】午前9時から午後4時30分
【入館料】無料
【開館後の休館日】月曜日(祝日が重なる場合は翌日も)、第三日曜日、祝日、
年末年始、展示替えによる臨時休館

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