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あなたにピッタリの地酒を必ず見つけてくれる、こだわりのお店「地酒屋こだま」の店主にロングインタビュー!

こんにちは〜。「大塚新聞」グルメ担当です。
グルメ、と自称しておきながら、日本酒界隈には丸っきり疎いワタクシ。
最近はよく、色んな人から
「大塚といえば、日本酒だよね?」
「美味しい日本酒が飲める居酒屋、教えて?」
と尋ねられ、若干の焦りを感じています…。

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そんなワケで今回は、ここ大塚で5年前から地酒の専門店「地酒屋こだま」をスタートした店主、児玉武也さんに取材をオファーいたしました。お店のホームページを見ると、日本酒に対する並々ならぬこだわりが、ページの端々からにじみ出ており…

わ、わたしのようなビギナーが軽々しく訪ねて大丈夫なんだろうか? 

そんな緊張感でドキドキしつつ、お店へ。こ、こんにちは〜…

児玉武也さん
「どうもこんにちは! お待ちしてましたよ」

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ジャーン

おっと、お店のオリジナルTシャツ! しかも、忌野清志郎の歌詞がプリントされてる!

児玉さん
「そうなんです。僕はロックが大好きで。この清志郎のコトバは、僕にとって座右の銘なんですよね」

なんと〜! ロック好きで、実は年齢も近く、他にも色々と共通点があって、一気に打ち解けてしまいました。そして、児玉さんの生き方、人生観がとにかく興味深いんです。42歳で脱サラするまでは、お酒とは全く関係ない「自動車のコンサルティング会社」に勤務していたそう。

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児玉さん
「4、5人で立ち上げた会社で、僕は普通にサラリーマンをやっていました。その前にいた中古車屋から、独立した時に、一緒に誘ってもらったんですよ。ただ、特に車が好きだったわけでもなく、流れでそうなっただけで(笑)」

前からお酒は好きだったのですか?

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児玉さん
「20代の頃から日本酒が好きで、あちこち行って地酒を飲んで、ラベルをはがしてアルバムに整理して、ってことはずーっとやっていました。でも、そこからグッと一歩深みにはまったのは30代後半くらいですね。当時、mixiって流行ってましたよね。そこに登録したら、お酒のコミュニティがあって、そこで新しい仲間とたくさん知り合ったんです」

いわゆるマイミクたちと、今まで知らなかった店に飲みに行ったりしているうちに、どんどんハマっていったそう。ほどなくして「日本酒の会」を、児玉さんの“兄貴分”と立ち上げます。

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児玉さん
「単に集まって日本酒を飲むだけではなく、日本各地の蔵元の良さを、より多くの人に伝えられるような会にしたかった。3年間で50回くらい開きましたね。そのうち色んな蔵元さんと知り合いになった。僕はどちらかというと、「業界一」よりも、判官贔屓というか、2番手3番手の人が誰でも好きなので(笑)、知り合う蔵元も、どちらかというとあまり売れてない蔵、でも、すごく頑張ってて美味しくてっていう。そういう人の方が、何故か気が合うことも多くて。そういう人たちとどんどん仲良くなっていきました」

そうして好きが高じて、ついに「地酒屋こだま」をオープンしました。“兄貴分”も、その4ヶ月前に飲食店を始めたそうです。それにしても、実際にお店を始めて、軌道に乗せるまでは大変じゃなかったですか?

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児玉さん
「蔵元さんとは沢山知り合いになっていたし、全員が『やるなら協力する』って言ってくれましたから、ベースはできていました。今思うと、ずいぶん甘えていたなとは思うんですが…。それに、都内で賃貸で酒屋を創業するというのが、どんだけ無謀なことなのか、そのときはあまり理解せずに始めちゃいました。スタートしてから2年か3年経って、ようやくその無謀さ加減を痛感するんですけど(笑)」

どんなふうに“無謀”だったんですか?(笑)

児玉さん
「非常に利益の少ない商売なんですよ。飲食店なんかと違って、酒屋の場合、粗利がせい ぜい2割くらい。ということは、ものすごい量のお酒を売らなければならないわけですよね。なのに、ビールもワインも売らなければ、マイナーな日本酒だけ取り扱うっていう…(笑)」

そこはこだわりなんですね。

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児玉さん
「メジャーな銘柄からも、いくつもお話いただきましたが、全部お断りしてきました」

どうやってお金のやり繰りをしてきたのですか?

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児玉さん
「とにかく、がむしゃらにやるしかない(笑)。僕は仕事が大好きで、放っておくとお店に泊まり込んでしまうタイプなので(笑)、住む場所もお店の近くに引越してきました。最初のうちは本当にお金がなかったので、お金かけなくてもいいところは全て手づくりにしました。貧乏くさくても、中身がしっかりしてればいいや!と思って。僕はコイツら(お酒)が大好きなんですよ。とにかく自分が美味しいと思わなきゃ、そもそも売らないのですが、その先にいる造り手さんに惚れ込んでしまうと、もう多少お酒がベストじゃない年があっても応援しちゃうタイプなんです(笑)」

熱い人なんですね! でも、ベストなお酒が造れなかった年は、どうしてるんですか?

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児玉さん
「小さい蔵って、その年の味にブレがあるんですよ。ワインにも当たり年ってあるように、日本酒もいい年もあれば、正直『うーん』って思う年もある。お酒って農業ですから、例えば『去年よりも味がちょっと出なくて、さっぱりしちゃった』っていうこともある。でも、小さい蔵の魅力って、そういうところにあるんです。安定した味が欲しいなら、大手のお酒を飲めばいいんだし。

なるほど、確かにそうですね。

児玉さん
「それに、そこで諦めず、『さっぱりしたお酒が好き』っていう人たちにオススメするっていう、新しいやり方にチャレンジしてみる。そうやって提案していけば、うまくいけば今までと違うお客さんがつく場合もあるんです。実際に、そうやって売り出して大ヒットしたお酒もありますから」

まさに、人と人とのつながりが生み出すイノベーションですよね!

児玉さん
「そうなんですよね。色んなお客さんがいて、『こういうお酒が欲しい』というリクエストにあてはめていくのが僕の仕事だから」

どんなふうに選ぶのですか?

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児玉さん
「知らないお酒でもいいんです。日本酒を買うのに知識や専門用語なんて不要なんですから。ショーケースに並んでいるお酒をただお選びになるのではなく、例えば『今日のおかずはサンマなんだけど、それに合うお酒ってどれ?』って尋ねてくださるお客様もいらっしゃるんですね。それに対して僕は、完璧にナビゲートして差し上げる。あるいは僕の方から、どんなシチュエーションで飲みたいのかを尋ねることもあります。彼女とシックに飲みたいのか、友達とハッピーに飲みたいのか、ドライがいいのか、甘口を求めているのか。だから、お酒の蓋は全部空いていて、試飲ができるようになっているんですよ」

僕のような日本酒ビギナーも、それだととっても助かります。仕入れの部分は、以前からのお付き合いが財産になっていたと思うんですけど、取引先や、顧客開拓はどのようにしてきたんですか?

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児玉さん
「それが自分でもよくわからないんですよね(笑)。どこの飲食店さんにも、『うちで取ってください』と言ったことは一度もなくて。100パーセント口コミなんです。さっきも言ったように、僕はコイツら(お酒)が大好きだから、それを大切に扱ってくれない飲食店はイヤなんです。そんなところに営業をかけるくらいなら、お店を畳んだ方がマシだっていう気持ちでやっていますから。こうやって話すとすごく傲慢に聞こえるかもしれないですけど、でも、ほんと、お店がなくなったらまたバイトでイチから始めればいいんだし」

いやー、すごい覚悟ですね。お話を聞いてて鳥肌が立ちました! 

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児玉さん
「きっと僕みたいな人間を、鬱陶しいって思う人も沢山いるんだろうなって思います(笑)。それで悩んだときもありましたけど、今はもう吹っ切れてます。とにかく、47歳にして今が一番楽しいんですよ。楽しくて仕方がない」

お酒について色々教えていただくつもりが、児玉さんのライフストーリーがとにかく興味深く、気づけば児玉さんへのロングインタビューになっていました。それにしても、好きなことを仕事にして、思う存分打ち込んでいる人って、ほんっとうに素敵ですね! この人になら、安心してお酒を選んでもらえる、そんな気持ちになれるお店でした。

児玉さん、こんど「女の子にプレゼントしたら喜ばれる日本酒」を選んでください〜!

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「地酒屋こだま」
〒170-0005
豊島区南大塚3-32-8
Tel/Fax:03-3944-0529
Open: 14 時半くらい(±15分くらい、アバウトです)~20 時(日・祝は19 時)
*Tel は開店前でも閉店後でも携帯転送してるのでけっこう出ます(但しテン ション低めです)
定休日:火曜日
*短縮営業&臨時休業多めの変わったお店ですので詳しくはHPでご確認ください

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