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1000年を超える日本の伝統文化、『表具・表装』とは?

みなさん、「表具(ひょうぐ)」って知ってますか?
巻物とか、掛軸とか、屏風とか襖とか、布や紙を貼ることで仕立てられたモノのことを指すんですが、これって実は、1000年以上の歴史を誇る文化なんですって。

先日、「gallery 園」のオーナー勝俣さんから、大塚にはなんと、この「表具」を取り扱う会社があるというお話を聞きまして。

是非ともこの目で確かめたい!

ということで、大塚駅北口から徒歩7分の場所にある「マスミ東京」さんにお邪魔してきました。

どうもこんにちは〜! って、あれ?

横尾靖さん
「いらっしゃいませ、お待ちしてましたよ」
出迎えて下さったのは、「マスミ東京」の代表、横尾靖さん。伝統文化を継承されている方と聞いて、ちょっと近寄りがたい雰囲気の方を勝手に想像してたら、とってもチャーミングな笑顔にホッとしました。

てか、え? なんですかこれ。ミニチュアハウスか何か…?

横尾さん
「いえいえ、これは『組立式 茶室屏風』です。和紙を利用した屏風で出来ていますので、畳めばどこにでも手軽に持ち運びができて、僅か10分で組み立てることができるんですよ」


な、なんと! モバイル茶室ってことですか? しかも畳が敷いてあるし、茶掛まで飾ってある。杉材、竹の格子と、フェイクは一切使ってないんですね。すごい、いきなりグッときました。こちらでは、「表具」を取り扱っているとお聞きしたのですが、具体的にはどんなものがあるのですか?

横尾さん
「主力は『裂地(きれじ)』です。掛軸の周りに使ったり、額や屏風に使ったりする布のことですね。これが実に何千種類とあって、古来からずーっと継承されている。着物もどんどんモダンになっていって、古い柄は少なくなっていく中、これだけの伝統柄を継承しているのは、今や表具の世界だけなんですよ」

大塚新聞
「そんなに由緒正しいものだったんですね。裂地を作っているメーカーはどこにあるのですか?」


横尾さん
「京都の西陣です。そこを中心に今はわずか数社しかない。それから和紙。『裏打ち』といって作品や裂地の裏に和紙を張り、作品と裂地を切り継ぎ易くそして丈夫にするための和紙も扱っています。表具には最初に裏打ちする肌裏用の薄美濃紙(うすみのし)、2回目の増裏用美栖紙(ましうらようみすがみ)、最後の総裏用(そううらよう)の宇多紙(うだがみ)があり、昔ながらの工法で作っている特殊な和紙です。それと、屏風や襖の下張りに使われる細川(ほそかわし)や石州紙(せきしゅうし)も扱っています。この細川紙、石州紙と美濃紙は最近世界遺産に登録された和紙で、これらを『マスミ東京』は昔から取り扱っており、表具には欠かせない和紙です」


掛軸や屏風、襖に、そんな手間暇がかかっているなんて知りませんでした。日本人としてお恥ずかしい…。でも、そういった技術を今後も残していくのは大変ですよね?

横尾さん
「そうなんです。職人さんも減ってきていますしね。そこで『マスミ東京』では、技術継承と表具そのものを多くの方に知ってもらうため、掛軸作りや表具作りを学べる教室や、ワークショップ、ギャラリーでは展覧会なども開催しています。それに関連して、書の教室や、水墨画の教室、和綴じの教室など、職人から直接学べる教室も、定期的に開催しているんです。かなり本格的に学べますよ」

大塚新聞
「それは楽しそうですね! 裂地を利用した表具以外の商品も展開しているとか。」


横尾さん
「はい。ジャケットやネクタイを作ったり、Tシャツの柄にしたり。袱紗(ふくさ:風呂敷)や札入れは、海外からのお客様にも人気です。『パナソニック 汐留ミュージアム』のミュージアムショップや、オランダ国立民族学博物館でも取り扱っているんですよ」

横尾さん
「それから、米国シアトルの高級ショコラティエ『Fran’s Chocolates』とコラボレートして、チョコレートボックスを作りました。桐の箱に裂地を張って、表面に砂子を撒いた手作りです。ここのブランドは、オバマ大統領も御用達だそうですよ」

大塚新聞
「すごーい!まさに日米友好の象徴のようなチョコレートですね! では、『マスミ東京』さんが発信している『表装文化』についても、詳しく教えてもらえますか?」



*掛軸の軸の縁につける飾りも、こーんなにたくさん!

横尾さん
「表具によって作品を引き立てる文化のことを『表装文化』と呼ぶのですが、これを広義に捉えると、主役である作品を引き立てる要素はすべて『表装』になるんですね。例えば一枚の絵があって、その周りの裂地はもちろん『表装』の一要素なのですが、その絵を鑑賞しているお客さん=主役と考えれば、主役が『あ、いいな』と思うすべて、その『場』こそが表装なんです。壁や照明や、香りや音、全てが表装の要素であり、表具・表装を職業としている「表具師」による、『総合芸術』なんです」

大塚新聞
「なるほど。とても東洋的で、素敵な考え方ですね」


横尾さん
「もう一つ大事なポイントは、表具って『巻ける』んですね。巻いて小さくしまって、季節応じて出し入れする。屏風もパタパタと仕舞って、何かの時に出す。出しっぱなしにしておく、ということがあまりないんです。額に入れて、半永久的に飾る西洋美術とは違いますよね」

大塚新聞
「そういうところも、外国人にはアメイジング!なのかもしれないですね。持ち運べるアート!」


*裏打ちした和紙を乾かしているところ

横尾さん
「それに加え、表装文化とは、『やり直しの文化』なんです」

大塚新聞
「『やり直しの文化』?」

「はい。今、国立美術館で開催されて話題になっている『鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─』も、平安時代、鎌倉時代の絵巻物を、表具師が100年ごとに補修しながらずーっと伝承してきたからこそ、今も残っている。しかも表装文化は、その時代その時代の文化や思想と融合しながら現代まで続いてきたんです。大事なのは、『調和』『伝承』。それが、表装文化の真髄なんです」

日本には、世界に誇れるこんな素晴らしい文化があったのですね!

横尾さん
「そうなんです。もっとたくさんの方々に、『表装文化』について知ってもらいたい。マスミ東京は、表具やその材料の販売だけでなく、技術を教える教室や、作品を発表するギャラリーホールもありますから、是非、お気軽に足をお運びください」

1000年も続いた文化が大塚で伝承されているなんて…! 本当に、知れば知るほど大塚って素晴らしい街ですね。横尾さん、本日はありがとうございましたー!

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「マスミ東京」

● ショールーム・ギャラリー
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨4丁目6-2
03-3915-4100
JR山手線 大塚駅北口徒歩6分 都立文京高校斜め前

● 本社・マスミスペースMURO・マスミ道場
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨4丁目5-2
03-3918-5401
ショールーム2軒隣の床屋角曲がり、20m先左側

平日 9:00~18:00
土曜 9:00~17:00(ショールームのみ)
日曜・祝日は定休

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