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大塚にこんな素敵なギャラリーが! 「MISAKO & ROSEN」に聞く、現代アートの楽しみ方

みなさんは「現代アート」と聞くと、どんな印象を持ちますか?

「なんとなく、難解で取っ付きにくいイメージ」
「突拍子もなくて、過激でちょっと怖い」
「正直、落書きにしか見えない」

そんなふうに考えている人も多いんじゃないでしょうか。かくいう僕も、そう思っていた時期がありました。でも現代アートって、ちょっとしたコツさえ掴めば、そういう部分も含めて楽しんでしまうことができるんです。
実は、「古典」と呼ばれる作品の方が、今の世の中の価値観とはかけ離れていたり、歴史やら宗教やらの「予備知識」なしには楽しめないモノが多かったりするんですよね。その点、現在進行形の「現代アート」こそ、今の私たちにとって切実だったり、リアルだったりするんじゃないかなぁ、と。

いきなり真面目な話ですみません!

今日はですね、なんと大塚に「現代アート」を専門に取り扱うギャラリーがあるとのウワサを聞きつけ、さっそく行ってきたんです。

大塚駅北口から、商店街を抜けてあるくこと10分弱。白いモダンな建物が見えてきたらそれがギャラリー「MISAKO & ROSEN」。こちらのギャラリーは2006年に、ローゼン美紗子さんと、夫のジェフリー・ローゼンさんが共同でスタートさせました。

現在は企画展「コメディー・コンクリート」を開催中(2015年4月12日まで)。その名のとおり、テーマは「コメディ」。ミルウォーキーを拠点にするアーティスト、デヴィッド・ロビンスの著書「コンクリート・コメディー」にインスパイアされたグループ展で、デヴィッド・ロビンスをはじめ、加賀美健、コブラ、トレバー・シミズなど、第一線で活躍するアーティストたちが、「コメディ」をテーマに作品を提供しています。

例えばこちら、加賀美健の作品。

単なるティッシュのように見えますが、実はこれ素材がキャンバス。“日常のどうでもいいアイテム”というモチーフを強調し、アートとコメディの境界線をグラつかせています。ちなみに、加賀美健といえば音楽好きの間では、ディアフーフのアルバム『ミルクマン』のドローイングが有名かもしれませんね!

こちらはコブラの映像作品。


映像作品の中で、パフォーマンスを繰り返すのですが、自らがキャストとなってのオーバーアクションが、世の中の流行や現象に面白おかしく「異化作用」を与えています。

他にも、マス●ーベーションする僧侶をモチーフをにした絵画(トレバー・シミズ)とか、パスタで作った絵画(スコット・リーダー)とか、思わずクスッと笑ってしまう作品が展示されていました。


さて、こんなユニークな展覧会を企画している「MISAKO & ROSEN」のオーナー、ローゼン美紗子さんは、どんな方なのでしょうか。現在、渋谷ヒカリエで開催中の展覧会『I’m sorry please talk more slowly』(Hikarie Contemporary Art Eye vol.1 -小山登美夫 監修-)にも出展中とのことで、ドキドキしながらお会いしに行ってきました。

美紗子さんは、想像していたイメージを軽やかに裏切るような(?)、小柄でとてもチャーミングな方でした。

美紗子さん、ズバリ、「現代アートの楽しみ方」は?

美紗子さん
ありのままを見る、ということですね。見て、『ん、なんだろうこれ?』って、考えること自体を楽しむ。今、ヒカリエで開催している展覧会のタイトルが『I’m sorry please talk more slowly』なんですけど、ゆっくり見て、考えることが、現代アートの楽しみ方だと思います。全てを理解しようとしたり、シンボリックなものを探したり、意味を求めたりしようとせず、わからないものは、わからないまま受け止めてみてください。そうしているうちに作品の本質が見えてきたりして、面白くなってきます」

大塚新聞
「ところで、美紗子さんが現代アートに出会ったキッカケは?」

美紗子さん
「高校生くらいの頃、村上隆さんと奈良美智さんの作品を見たのがキッカケです。『現代美術って、面白いなあ』と思って、その世界にどっぷりハマっていきましたね。それで学生時代に『小山登美夫ギャラリー』でバイトを始めて。10年くらい働いて、そろそろ節目かなと思って独立しました」

大塚新聞
「ギャラリーのお仕事って、具体的にはどんなことなんですか?」

美紗子さん
「アーティストのマネジメントだったり、展覧会の企画だったり。アーティストの作品を売って、そのお金でアーティストも私たちも食べている。わかりやすく言えば、芸能事務所みたいなものですよね。会社でいうと、制作部があって営業部があって宣伝部があって。それら全てをおこなっているのがギャラリーなんです」

大塚新聞
「なるほどー! とってもわかりやすいです」

美紗子さん
「きちんとした仕事なんですよ(笑)。お金も必要だし、作品を売って回していかなければならないし、私たちがギャラリーを閉めてしまうということは、作家の行き場がなくなってしまうわけだから。続けていかなければならないんです」

大塚新聞
「ちなみに、現代アートってどんな方が買うのでしょうか。相当マニアックなコレクターっていうイメージなんですが….?」

美紗子さん
「アートが好きなごく一般の方々や、サラリーマンとか。もちろん、企業や美術館も買いま すし。美術館に行くと絵画があって、『〜コレクション』とあるのは、私たちが 売った作品かもしれないわけです」

大塚新聞
「軌道に乗せ、アートとビジネスとして成り立たせていくためのコツはありますか?」

美紗子さん
「私たちのケースで言えば、ギャラリーのコンセプト作りを、最初からキチンとしていたことですかね。どんなアーティストを扱い、どんな展覧会を開いて、どこのアートフェアに参加するのかとか。その辺は、小山登美夫ギャラリーでノウハウを学びました。ラーメン屋で働いて修行して独立するのと、大して変わらないと思います。業界が違うだけで」

大塚新聞
「そうすると『審美眼』、料理人で言うところの味覚やセンスがとっても大事なんでしょうね」

美紗子さん
「そうです。音楽の世界でも『このバンドは来る!』とか、『今、こういう傾向がきてるから、この人をもう一回出して流行らせよう』とかありません? アートにも、見えないトレンドみたいなものって、ちょっとあると思うんですね。そういうのも知ってないといけない。それから、マーケットと常に隣り合わせなので、『この作品は、昔は1000ドルで売ってたけど、今は7000ドルになってる』とか、オークションで誰が何を幾らで転売しているのもチェックしています(笑)。アーティストが提示する、新しい価値観(=作品)に値段をつけるのが仕事なので、お金の動きもちゃんと把握するためのノウハウも、当然必要っていうことなんです」

いやー、今日はものすごく、勉強になりました!
ちなみに、大塚のいいところって?

美沙子さん
「山手線上で、実は便利な都心なのに、静かなところですね。あと、『大塚』を敢えてアピールしやすい! 『現代アートのギャラリーが大塚? なんで?』ってなるじゃないですか(笑)。意外性というか、“ださギャップ”みたいなところを出していけるところが好きですね」

では、最後に今後の展望をお願いします!

「NHKドラマ『マッサン』(国際結婚した酒屋の跡取り息子が、ウィスキー造りに情熱を燃やす話)の主人公夫婦は、北海道の余市に貢献したじゃないですか。あんなふうに、ミサコ&ローゼンも大塚に貢献したいです(笑)。そして、いつか加賀美健のパブリックアートを駅前に作る依頼をもらうのが目標ですね!」


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MISAKO & ROSEN
http://www.misakoandrosen.com
170-0004 東京都豊島区北大塚3-27-6
休廊日:月曜/祭日
開廊時間:火曜-土曜12:00-19:00/日曜 12:00-17:00
電話:03-6276-1452

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