大塚新聞は東京・大塚の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

アジを描いて脳を活性化? 古民家でのアートセラピーに密着ルポ!

突然ですが、みなさん最近手を動かしてますか?

「当たり前だろ!」という声が聞こえてきそうですね。すみません、言葉が足りませんでした。

みなさん、最近手を使ってモノを作ったり絵を描いたりしていますか?

子供の頃は、しょっちゅう粘土やクレヨンを使って自由にモノを作ったり、絵を描いたりしたものですが。

大人になるとなかなかそういう機会ってないですよね?

でも、手を動かしながら物事に集中するっていうのは、「脳を活性化」させるという意味ではとっても大事なことなんですって。

今回、ご紹介するのは、そんな「モノ作り=アート」の力を通して、健康で心豊かな社会づくりを目指すという「アートセラピー」。そのワークショップが大塚にある「ギャラリー園」で開催されるというので、早速行ってきました〜!

「ギャラリー園」は、大塚駅から徒歩10分強、新大塚駅から徒歩5分強という場所にあり、古民家を利用したとっても雰囲気の良さげな空間です。今日、開催される「アートセラピー」だけでなく、演奏会や個展、ワークショップに女子限定(!)日本酒会など、様々なイベントが定期的におこなわれているそう。こんどまた改めて、こちらのギャラリーもご紹介させていただくつもりですのでお楽しみに!

はい、本日は題して「古民家でアートセラピー」。参加者みんなでアジを描きながら、脳を活性化させるのがテーマです。

….アジって、あの鯵ですよね魚の?

いったい、なぜアジなんでしょう。そう、大塚新聞が興味を持ったのもまさにそこなんですよ。本日の講師であるRena-Art(ルネアート)代表の永池雅子さんに、まずはその辺のところ聞いてみました。永池さんは、アートセラピストとして、様々な施設でセミナーやアートワークをされています。

永池さん
「なんでもいいんですよ、日常には魅力あるモチーフ(題材)は沢山あります」

おおっと、いきなり肩すかし….!!!

永池さん
「他のアートプログラムでは、カボチャやニンジンなど野菜を使うこともありますし、アジを使っているのもサバやホッケなどより手に入りやすいから、というのもあります(笑)」

な、なるほど。そんな単純な、いえシンプルな理由だったのですね!

永池さん
「絵を描くとき、まずはその対象物をじっくり観察するところから始めるのですが、アジを実際に触ってみたり、鱗の形や質感、色合いなどを観察してもらうと、単に青やグレーだけじゃなくて、光の加減によって色んな色に見えたり、一匹一匹カタチも全然違うことに気づくはずです」

大塚新聞
「ああ、確かに。なんとなく、勝手に頭の中で『アジってこんなカタチだよな』なんて思ってましたが、実際によく見てみるとすごく面白いですね。背骨もよく見ると、とても綺麗なカーブを描いてるし。服の色や太陽光、照明などが鱗に写り込んで、本当に色んな色に見えます!」

永池さん
「そうなんです。それを今日は、みなさんに自由に描いてもらおうと思います。しかも、今日は筆をほとんど使わずに描きますよ」

参加者Aさん
「え、なにを使うんですか?」

永池さん
「それを今からやっていきますね!(笑) ではまず、画用紙を選んでください。今日はグリーンとブラウンを持ってきていますので、お好きな色の画用紙をどうぞ」

永池さん
「そこに、太い筆を使ってジェッソで背骨を描いていきます」

ジェッソとは、炭酸カルシウムとチタニウムホワイトの顔料からできた純白の地塗り剤。絵具の発色と定着を助け、作品をひきたてるという、いわばメイクで使うファンデーションみたいなものですな。

永池さん
「そうです。そして、筆を使うのはほとんどこれだけです。続いて、広告用紙をクシャクシャッと丸め、そこにジェッソを付けたら画用紙に塗っていきます」

なるほど。これでアジの身の部分の大きさを決めていくのですね。叩くようにして、少しずつ広げていくのがコツのようです。

永池さん
「はい。このザラザラっとした感じが、オイルパステルで色をつけた時に鱗の質感をうまく表現してくれるんですよ」

と、突然の停電! どうやらブレーカーが落ちた模様。古民家ならではのハプニングに、かえって盛り上がる皆さん(笑)。

気を取り直し、ジェッソを塗り終えたらドライヤーで乾かします。 

永池さん
「ジェッソが乾いたら、上からオイルパステルで色を塗っていきます。ちなみにオイルパステルが細かく折れているのは、パステルをタテにして塗ったりヨコにして擦ったり、叩くようにして描いたり、指の腹で引き伸ばしたり、色んな使い方が出来るようにするためです」

本当だ。使い方によって、いろんなニュアンスが出せるんですね〜

永池さん
「はい、まずは使いそうな色を3、4色選びます。全く同じ色はないので、『これを使えば感じが出るかしら』って思えそうな、似た傾向の色でいいですよ」

永池さん
「そのうちの1本を使って、背骨の部分をなぞるように、1本、線を引いてください。そこを中心に、どんどん色をつけていきましょう。違う色を混ぜ合わせたり、指で擦って輪郭をぼやかしたり、塗る方向をいろいろ変えてみたりすると、魚の身の部分の質感、立体感がでてきます。色は自由に使いましょう。下地の白を残してもいいし、塗りつぶすようにどんどん重ねていってもいいでよ」



わー!すごい!

最初は、まったくアジに見えないっていうか、色もかけ離れているように思ってたのに(参加者の皆さんスミマセン!)、パステルを塗り重ねていくうちに、どんどんアジっぽくなっていく! ウロコのテカテカした感じとか、肉のモリッとした感じとか、ちゃーんと表現されています。すごい!

永池さん
「続いて、割り箸を削って作ったペンで、今塗ったところを削ります。ウロコや骨の、細かい部分をこれで表現していくわけです」

参加者Aさん
「なんだか、なつかしい! 子供の頃に花火のスクラッチ画とか描いたの思い出しました!」

大塚新聞
「みなさん、色使いがそれぞれ違っていて本当に面白いですね。その人の心理状態なんかも、絵のタッチで分かるんですか?」

永池さん
「臨床美術では、そういった『診断』まではしません。手を動かして、脳を活性化させるという『行為』そのものに意味があるんです」

大塚新聞
「なるほど〜。それにしても、アジのことを、こんなにじっくり見たことがなかったから、いろいろ気づくことが沢山あります。ウロコって、こんな色してたのか、背骨ってこんなふうになっているのか、って」

永池さん
「そうなんですよね。実は日常の中で、モノそのものをじっくり観察することってあんまりないですよね。むしろ子供の頃の方が、よく見ていたんじゃないでしょうか」

最後に、黒い絵の具を使って輪郭をつけます。やりすぎると、単に囲い込んだだけになっちゃうので、必要最小限に。お、いい感じで全体が引き締まりました!

描き終わったらサインを入れて、参加者のみなさんの作品を鑑賞し合います。ほんと、それぞれ色合いも形も全然違います。同じ空間で、同じアジを描いているのに本当に面白い! 光の当たり方が場所によっても違うし、アジの個体差もあるし、あとは描く人の個性がしっかり反映されている気がします。よく見ると、描いたご本人に似たアジもあったりして(笑)。




参加者Aさん
「私は普段、Webの仕事をしているので、コンピューターを使って何かを描くことはしていますが、自分の手で描くことなんてほとんどないんですよ。だから、『子どもの頃、こういうことやったよなー』って思い出しながら、いつもは使わない脳の刺激を受けた気がします。しかも、アジをこんなにしげしげと見たこともなかったし(笑)、どんな日常なものでもアートになるんだなっていう『気づき』があったのも嬉しかったです。それに、他の人の作品を見るのも楽しいですね! 1人で描いてたら気づかなかったことも沢山あったし、『この人にはこんな風に見えるんだ』っていう驚きもありました。今日はありがとうございました!」

参加者Bさん
「古民家っていう空間で描いたのも、なんだか新鮮で楽しかったです。すごく集中できますね。普段、家にいる時って、何かしててもメールがあったり、あれやこれやがあって、どうしても複数のことを考えながら作業していることが多いんですけど、今日はすっごい集中して入り込めたのが、本当に気持ちよかったです」

みなさん、童心に帰ってとても生き生きした表情をされていました。大塚新聞も一緒に参加したくてたまらなくなりましたよ。今日はアジでも買って帰ろうかな〜!

————–
アートセラピー&コンサルティング「ルネアート」
http://www.rena-art.com

ギャラリー園
http://7thwave.info/gallery-en/
東京都文京区大塚5-36-2

Share (facebook)